えー、友人で写真家の関一也君(星空ポートレートの達人)から「臥竜公園の桜が見事ですよ。写真撮りに行きませんか?」のお誘いを受けて、行ってきました。
臥竜公園は、長野県須坂市にある桜が池の周りに植えられている公園です。桜の名所として有名ですが、実は一度も行ったことがありませんでした。
いやー、見事な光景でした。人もわんさか。
ということで、夕暮れからずーっと撮影しておりました。その内の1枚をアップです。
SONY ILCE-9 + SEL2470GM
なんでも水辺に近い桜は、枝が水際に向かって育つそうで、枝垂れている桜が見事でした。ちなみに右隅にカメラを構えているのが関君。せっかくなので、レタッチで消去しないでおきました。
という話で終わってしまうと、アレがソレなので、写真的話をします。カメラは諸事情でお借りしているSONYミラーレスの「フラッグシップで無音連写番長」の「α9」を、レンズは「ズームなのにどの焦点距離にセットしても単焦点レンズ同等の解像度を出す」という「FE 24-70mm F2.8 GM」を組み合わせました。
当然といえば当然ですが、撮影はRAW + JPEGです。JPEGの設定はデフォルト。RAWは非圧縮。
あ、そうそう。せっかく三脚を持って行ったのに、ケーブルレリーズを忘れるという失態ぶり。でも安心。a9もWi-Fi搭載で、スマートフォンアプリの「SONY Play Memories Mobile」と連携させることができます。構図を決めたら、アプリへa9からライブ映像が逐次飛んでくるので、アプリでシャッタースピード、絞り、ホワイトバランス、ISO感度などをチョイスして、シャッターボタンをポチッとできます。超便利!
ちなみに撮影データとしては、24ミリ、絞りF11、シャッタースピード30秒、感度ISO100、ホワイトバランスはオート。ほぼ無風状態だったことと、シャッタースピードと感度を上げて、水面に映る桜を鏡のようにする(速いシャッタースピードで水の揺らぎを止める)ことも考えましたが、今回は池の様子をとらえたかったので、あえてのロングシャッター。
この写真ではやっていませんが、30秒という長時間露光を選択して、クリップオンストロボを持って桜の下へ行き、iPhoneのタッチでシャッターを切ってストロボを何発も焚いて、ってこともやりました。見通しが良い場所なので、30メートルぐらいは電波を拾ったかな。
という撮影ワークフロー。
んで、本日RAW現像をしました。
こちらが、カメラ本体内で撮影直後に生成されるJPEGファイルの写真。いわゆる「撮りっぱなし」の状態。
大きく拡大表示で比べていただければ一目瞭然と思いますが、結構調整しました。
LightroomのRAW現像段階では、全体の色調調整、つまり色温度と色かぶりをクリアを目指して、水銀灯らしきでライトアップされているため色があまりない状態かつ飛び気味の桜の花びらを調整するためにハイライトと白レベルを抑えて、シャドウを持ち上げて山沿いのディテールを出し、夕暮れの空色と桜色を強調するためにHSLで色相と彩度と輝度を調整し、下半分の湖面にグラデーションマスクをかけて明るさを1.5絞りぐらいアップし、右の山の部分も補正ブラシをかけて個別に1絞りぐらいアップさせました。
これを16bitで出力して、Photoshopへ。
トーンカーブ調整レイヤーを使って、水銀灯によるオレンジ系の色をなるべく取り去って、いたるところにある蛍光灯系の輝線と思われる緑色を排除、左奥のこれも水銀灯の一種かもしれませんがシアン色になっている光を控えめにして、左側の山に咲くライトアップされていない桜のトーンを引っ張り出して、同じく池に映る同じ桜の色も明るめにして、山の緑は全体的に葉のトーンはあるけれど暗く抑えて、池のほとりの石を浮き立たせ、最後に桜と反射している桜のトーンを立体的になるように一部明るくしたり暗くしたりしました。あ、右側に目立つ銀色の三脚を立てて撮影している人は消しました。
大雑把に。LightroomのRAW現像時にある程度の調整後に、Photoshopで赤がより明るくした場所。黄色が色がおかしいから調整した場所。緑が現像段階で多少明るめにしてあったまたはより強調するために暗くした場所。
私のワークフローとしては、RAW現像で素材となる写真データを作成して、Photoshopで細かなマスク処理やLightroomではできない調整をしています。これを基本にして、やるときはどこまでも、全体の調子が好みになるよう追い求める感じですね。
今回の調整は、ゆるーく曖昧な人間の眼(自分の眼)で見ている感じを再現するように試みました。なので、蛍光灯の緑とかは写真の中に不必要な要素ということと、たとえSONYのカメラが13絞りほどの広いダイナミックレンジを持っていたとしても、人間の眼(というか脳)の補完能力が効きまくるダイナミックレンジとはかけ離れてしまうので、そこをなるべく合致させるような方向に持って行くことを目指した感じです。
皆様の参考になれば、嬉しい限りです。
追伸
今回の題材にした写真を撮るために使用したカメラと三脚の姿はこちら。
最小限の荷物にしたので、マイクロ三脚と自撮り棒で高さを出すという大技。