以前のブログやFacebookで「珍客万来」というシリーズを不定期で展開しておりました。
これ何かというと、私のスタジオも普通に「客商売」というものですから、オープンしている限りくるのが「飛び込み営業」というのと、電話で商品を売ろうとする「電話勧誘営業」というのが、本当に、ホントーニ、よく来ます。よくあるアレな言い方で良く来ますね。基本的に私のスタンスとしては、時間がなければ出ないし、もしも時間に少し余裕があった(滅多にないけど)なら、営業手法に興味があるので少し話を聞いてみます。
今後も様々な「営業さん」がいろいろとやらかしてくれたら、「珍客万来」としてご紹介したいと考えています。
訪問営業、電話営業に関する法律を知っておこう
「こんにちは〜!私、消防署の方から来ました◎と言います。社長さんおいでですか?」
という訪問販売、いわゆる飛び込み営業です。
「お忙しいところ申し訳ございません。△と言いますが、社長はいらっしゃいますか?」
さっきのアレな文言の面倒な電話がキター!
両者共に、「あー、いらないから」と告げたり、電話口で「ハァ?いらないよ!ガチャン!」と切るよりも、当方だって客商売ですから、きちんと対応したいですよね。営業さんと相対するには、自分でも法律をかじっていた方が良いです。今日はそんな話を少々。
そもそも論からですが、訪問販売はもちろん、電話を使った営業や勧誘という手法についも、ちゃーんと法律で規制されています。これが「特定商取引に関する法律」です。ひらったく「特商法」と以下では言います。特商法ですが、私たちは法律家ではないので全部を覚える必要はありません。いわゆる「営業は迷惑であるからなんとかしたい」ということが目的です。もう営業は勘弁して欲しいという部分に対して必要な条文ですが、訪問販売であれば第三条と第三条の二、電話販売であれば第十六条と第十七条です。
まずは営業の始まりについてですが、第三条と第十六条は、ほぼ同じことが決められています。ざっくりと説明しましょう。
事業者名と販売者名、
商品やサービスが何であるか、
これから勧誘を始めること、
以上の必要事項を販売を始める段階でセットにして告げなければならない。
要はこれらが第一声として必要だと、法律で決められています。したがって、先ほど書いた通りの「こんにちは〜!私、消防署の方から来ました◎と言います。社長さんおいでですか?」はもちろん、「お忙しいところ申し訳ございません。△と言いますが、社長はいらっしゃいますか?」も厳密にはアウト。私の経験上、これらの説明義務についての言い方について百歩譲ったとしても、会社名と商品説明はしますが「これは勧誘ですよ〜」を言う人はほぼいません。
最近よくあるケースですが、次のような会話方法は、完全にアウトです。
「私、◎社の△と申します。社長さんのところはインターネットは光回線でお使いですか?」
と、調査を装った言い方を最初にしてくるやり方です。おそらく彼らのマニュアルとして「使っているかを聞く。NTTなのかauなのかSoftbankなのかを確定する。それによって勧めるサービスを決め打ちし、今後は光回線の別の所へ転用をすると安くなりますよ、と言え」ってなっているんでしょうな。このように「なんとなく当たり障りのない会話をしておいてから、そこに関するサービスを説明しよう」という手法は、完全に法律違反です。
次によくある話が、同じ会社から再び訪問、または電話が来るケースがありますね。正直なところ「前回断ったのに、またかよ」というヤツです。これに対して制限を課している法律が、第三条の二と第十七条です。この法律をざっくり言えば、「再勧誘の禁止」ということです。つまり「前回断った」時点で再び営業に入ってきたら筋から考えるとアウトなのですが、彼らはそのように考えてくれません。法律をもう少し正確に記すと、
商品を契約しないという意思を示した人に対して、
同じ商品について勧誘してはならない。
これはふたつの考え方で解釈するようです。ひとつは「強引な販売はダメよ」ということなので、
「この商品どうですか?いいでしょう?」
「いらないよ」
「そんなことは言わずに、これはこんなこともできましてね」
と話を継続することがアウト。もう「いらない」と意思表示したら、そのまま続けてはダメなのね。
もうひとつが、再勧誘という解釈なので、
「この商品どうですか?いいでしょう?」
「いらないよ。それに今時間がないから」
「それでは、明日お時間ありますか?もう一度説明しますから」
という再訪問もアウト。これらは法律に「禁止」とあるので、再勧誘は時間軸の問題じゃなくて、かなりきつい意味でダメなんです。
以上のように、営業には「お作法」が法律で決まっていることを知っておきましょう。
具体的な断り方
んじゃ、どうするのよ。
例えば訪問にしても、電話にしても、最初の通り「会社名、担当者名、どんな商品について話し、これが勧誘であること」がセットになって話さなかった時点で、
「あなたのその話しっぷりは、特商法に違反している可能性が高いので、私は聞くつもりがありません」
と、ピシャっとしてもオッケーです。まぁ、もう少しまる〜く言うならば、
「あなたが今話し始めた段階で、私を勧誘することが趣旨であると喋っていませんね」
ぐらいかな?
そして続けましょう。
「あなたがこれから販売しようとしている商品は、私には必要ありません。今後も気が変わることもありませんので、以後一切の勧誘は必要ありません」
ときちんと断ることが大切です。そのまま続けます。
「二度と来ないでください」(訪問の場合)
「二度と電話をかけないでください」(電話の場合)
と告げてください。これが非常に大切。
んで、仮にここで引き下がらなかったり、再びコンタクトを取ろうとしてきたならば、
「特商法にある再勧誘の禁止を破っていると受け取りましたので、御社について消費者庁長官、経済産業局長、都道府県知事(この内の誰か)に通報します」
と言っちゃってください。ちなみによく聞く「国民生活センター」へ電話をしても結局その3者に出してねと言われるようですし、「国民生活センター」という言葉を忘れたとしても「知事」という言葉は忘れないでしょ? ちなみに勧誘業者はこの通報が一番困ることで、普通に業務停止処分とかが出ちゃうレベルの話だそうです。
あ、そうそう。訪問販売の時によくあるのが「営業さんが帰ってくれないから話を終わらせられない」という気弱な状態ってありますよね。これに対する知識でいうと、法律に「不退去罪」というのがあるので、それを使いましょう。要は「私の家から出て行ってくれ」と要求したのに出ていかない場合に成立する罪です。ただし「帰って欲しいのになんでわかってくれないんだろう」と心で思っていてもダメですよ。不法の成立には、ちゃんと「帰ってくれ」のような確実な退去要求と、相手が帰るまでの合理的な時間経過が必要です。ざっくり言って、「もうお引き取りください」と宣言してから、その人がくるっと振り返って玄関へ行くまでかかるであろう時間が経ったら成立するということなので、言った後30秒ぐらい経った段階で「不退去罪で通報します」と言っちゃってくださいね。
最後に、私の事例を。それは、某大手証券会社の営業電話でした。春に営業電話が増えます。入社したら「営業体験で電話勧誘してみることってあるよねー」とやっているであろうことは一定の理解はできますが、私を巻き込まないでくれ、私に対する時間泥棒だよ、と感じてしまいます。よって以前に「株の取引はやりませんので電話しないでください」とは言ったのですよ。さて、しばらくしてまた電話をかけていた営業さんがいました。さすが証券会社に入社する頭の良い人なんでしょうね。知らんけど。「もう電話をしないでと言ったでしょ」とその人にも言ったら、切り返しが来ました。
「私は社長が断られた時と違う担当ですし、説明したい商品も違うものです」
ときたもんだ。ある意味、特商法を知っているんだろうなとは思ったものの、さすがにこの言い草に関しては「カッチーン」ときてしまったので、私は静かに言いました。
「なるほど。それでは改めて宣言します。御社が扱うすべての商品、もちろん未来に開発されるかもしれない商品も含めて、御社丸ごと興味がないですし私にとって必要ないので、二度と勧誘しないでください。もしも電話をかけるリストがあるならば、そこからの削除も求めます」
と申し伝えました。
で、今日。またそこから電話がかかってきたんだよ(T_T)
ああぁぁ。珍客万来。
この記事を再度電話勧誘されたという記録として扱って、次にかかってきたら問答無用で消費者庁の「特定商取引違反被疑情報提供ファーム」に対して通報することにします。
電話の小物