シリーズ第1弾:私がSONYを使う理由
シリーズに区切りをつけないと、関連話題へ入れないw
並行して使っていた35mmフィルムカメラ
2005年にデジタル関係のメインカメラは、一眼レフのCanon EOS 5Dになりました。しかしながら、フィルムで撮ることも並行していました。特に結婚式のスナップ撮影という部分にデジタルを導入するのは、「もう少し先かな」と思っていたのです。理由は、カメラ全体のレスポンスがフィルム一眼レフに比べて悪いこと、大容量の記録メディアがまだまだ高額だったこと、などかな。
CFとマイクロドライブで今現存している子達
当時主に使っていたフィルムカメラを列挙しましょう。Canonが、EOS 5 QD、EOS 7s、EOS RT、そしてEOS-1 V。ニューヨーク時代に引き続き、CONTAXもRTS II Quartzを使っていました。加えて、Leicaにも沼っていた凝っていた時期なので、M3、MP、Konica HEXAR RF Limitedあたりも使っていました。今考えると、フィルムカメラって息が長いですねw。M3なんて私の年齢よりも上だし、EOS 5 QDに至っては、ニューヨークにいた頃から使っていましたし。あ、買い増しもしましたけど。
懐かしいフィルム時代のCanon達
レンジファインダー達。あ、ライツミノルタCLを入れ忘れたわ。
で、婚礼アルバムの編集自体がプリントを切って貼ってしていたアナログ的な作業から、フィルムをスキャンしてMacでDTPしようぜ、って方向になっていくと、徐々にデジタルの必要性が高まってきました。やはり必要は物欲を呼びますね。
デジタルの流れが変わった機種
2008年の秋に、待ち望んだ機能「ライブビュー」が搭載された、Canon EOS 5D Mark IIが発売になりました。
Canon EOS 5D Mark II + WIRELESS FILE TRANSMITTER + EF 50mm F1.0L
ええ、待ってましたからの即導入。なぜライブビューが欲しかったかというと、レンズ遊びがもしたかったから。キヤノンEFマウントは、他社のマウントに比べてフランジバックが短いため、マウントアダプターが多数あるんです。そのため、常用していたコンタックスのツァイスレンズをデジタルで撮影することができるんです。その他にもニコンやオリンパスやペンタックスやライカRなどのレンズも取り付け可能です。ライカM系のレンズは無理ね。
画素数も2110万画素となって、プリントに対して満足できる画素数が確保できるようにもなりました。この辺りで完全にデジタルへ移行ですね。フィルム並行撮影からの脱却できたという、私にとって起点のカメラでした。なので、いろいろなことを考えましたよー。特にEOS 5D IIには、ワイアレスグリップとかも発売されましたから、撮影と同時にサーバーに対してRAW + JPEGモードの内のJPEGデータを送信しちゃうとか。その後iPadが発売になって、Eye-Fiカードと組み合わせて、デジタルポラシステムとかを構築して、PHOTONEXTで講師をやったりとかしていましたっけ。うん。
不満を解消するために
2012年の3月にEOS 5D Mark IIIが発売になりました。しかしながら、導入には至らず。なんとなくしか理由を覚えていませんが、上位機種であるEOS-1D系に対する憧れもあったし、2012年といえばロンドンオリンピックでしたから、きっとEOS-1Dの新機種が発売されるだろう、という予測はカメラ好きの間には出ていましたからね。
5D系を使っていて何に対して不満だったかと言えば、AF測距点が9点っきゃないこと。私自身の信条として、スタジオの撮影であっても、可能な限り三脚(スタジオの場合は、大型スタンドです)を使います。するとフォーカシングをするためにカメラを動かす必要が出ます。中央のAFポイントを主に使うってことだけじゃなくて、全部を使うんですけど、被写体のピントを狙いたい場所と、カメラ側のAF測距点が合わないことがほとんどだから、三脚に取り付けたカメラを雲台のレバーをキュルっと緩めて、カメラを振ってピントを合わせて、決めたフレーミングに戻します。この作業自体はもう慣れてしまったので、素早くできます。しかし、被写体が子供の場合無理が生じます。その時は、カメラを手で持って撮影します。
ちなみに、「ファインダーでピントを合わせるあるいはあっているかどうかをジッっと見て確認する」という作業は、EOSでは無理です。私だけかもしれませんが、無理でした。そのため様々なこと(定評だったのは、SONY α900のファインダースクリーンを削ってEOSで使う。とか)をしましたが、やっぱり無理でした。ライブビューでピントを合わせることってのは有効な手段なのですが、シャッターが切れるまでのタイミングがえっらい遅いこと(通常と比べて)と、ライブビュー状態だとストロボが飛ばないんですね。(ライブビューでもストロボが飛ぶというご指摘をいただきました。私何度か挑戦して飛ばなかった。んー、設定があったのかもしれないけど、最終的に追及しなかったです。)
EOS 5D Mark IIIにしてAF測距点が61点へと進化したので、次に発売されるであろうEOS-1D系のボディに対する期待感は、半端なく上がっていました。で、EOS-1D Xは2012年6月20日発売しました。が、結局買ったのは2013年に入ってから。
画素数が2110万画素から1810万画素へ落ちました。画素数と仕事の関係で行くと、ちょっと足りなかった。具体的には、4切や半切のポートレート(含む遺影写真)の場合ね。しかしながら、不満の一端だったAF測距点に関しては、61点(クロス測距点は最大41点)となり、カメラを三脚へ固定し、フレーミングも固定した状態で、測距点を動かせばピントを合わせることができるようになりました。具体的には顔や目にAF測距点を持って行きます。若干面倒な作業とも言えますが、カメラそのものを動かすことに比べると、チャンスをきちんとゲットできることと、ピントに対するコサイン誤差が生じることでピントを外すことも減らせるようになりました。
と言っても。。。
私の最初のSONY
仕事で使うメイン風味なカメラの他に、趣味的要素で使うカメラというのも存在します。ちょうどこのころ、パノラマ撮影に凝っていて、いろいろとやっておりました。その一環と先の通りの、「マウントアダプターによるレンズ遊び」という奴もやっております。そんな中で「!」と思ったのが、SONYのα NEX-5でした。ライカよりも短いフランジバック、レンズ無し撮影(マウントアダプターを使った撮影だと、カメラ側でレンズを認識しないため、リスク管理として通常はシャッターが切れない)もできる。発売自体は2010年6月10日ですが、私が購入したのは2012年ごろ。このNEX-5に他メーカーの魚眼レンズをマウントアダプター経由で取り付けて、360度パノラマ写真を作ったりしていました。
NEX-5にマウントアダプターを付けて、Nikonr ED 10.5mm F2.8G 改。
このレンズはフルサイズでも使うので改造版。
今思えば、この時にボディのみ購入じゃなくて、キットレンズでもいいからレンズ付きにして使っていれば、もっと早くSONYへ移行していたんだろうな、と思いますわ〜。だって、今SONYで使っている機能の基本的な部分は、この一番最初のEマウントカメラであるNEX-5には搭載済みだったんですもん。
あ、それ以前にCyber-shotとして、コンパクトデジタルカメラも買いましたっけ。が、自分が使い倒す前に、オカンが「私が使えるカメラが欲しい」ってことで渡しちゃったのも、深くSONYの技術に関わるきっかけが取れなかったひとつかも。
もちろん、α900が出た時点で、そもそもCONTAX時代からZEISS信者であったので、「カール・ツァイスのレンズがAFで使えるSONYのカメラって!カメラって!カメラって!(リフレイン)」とは思っていました。んが、ツァイスレンズの高額なこと(この時は2メーカー持ちをするなら、って考えていたから)、なんやかんや言っても、流石のキヤノンは、AFスピード番長であったので、AFツァイスズームレンズのレスポンスの遅さにはがっかりした、といった理由と、気持ちとして「隣のクラスに座るちょっと気になるあの子だけど、べ、別に積極的に声をかけなくてもいいかなぁ」的な存在ということにして、触れないように心がけていました。多分試写とかがバンバンできる状態だったなら、やっぱり心の動きはもっと早かったかもしれませんけど。
閑話休題。
やっぱり不満なんだよ!
んで、憧れのフラッグシップ、EOS-1D Xを手にして、意気揚々と撮影していたました。
ただ、AF測距点が61点という当時のデジタル一眼レフでは最大級のAFシステムだったとしても、私の気持ちまで汲んでピントを合わせてくれるわけじゃなかったのです。
ファインダーを覗いて見えるAF測距点とは、その四角と相対する場所にAF測定のセンサーがあって、ピントを位相差で検出して、モーターを駆動してピントを合わせてくれます。脳内イメージとしては、ピンポイントにAFセンサーがあるような感じですが、実際は棒状のセンサーがX軸Y軸に設置されていて、そのクロスポイントで見ているようです。知らんけど。
要するに、割と曖昧。
加えて、AF番長でいるために、昔のレンズと比べて最短撮影距離から無限遠(オーバーインフを含む)までの回転距離が非常に短くなりました。シュッと軽く動かして、パッと合うみたいな。もちろんモーター制御をしている中で、ヌルッと行き過ぎや足りないがあったりはしないでしょう。タブンネ。
要するに、ちょっとのズレが大きなズレになる。
何度も書きますが、AF測距点が61点ありますが、ファインダー全体を覆っているわけじゃーない。中央部の、言うならば、ファインダーの1/3程度にしかセンサーがない。測距点の外側に被写体のピントを合わせたい場所が来たならば、結局コサイン誤差を考慮しつつカメラを振り回さなきゃならない。
要するに、フレーミングの自由度がちょっと減る。
といった感じで、鍋に水を張って熱して沸騰直前のフツフツと底に泡が発生し始めるような不満が出てきました。つか、これは一眼レフというカメラを使い始めた頃から、実は根元にあった問題点なんですよね。うん。知ってた。
これまた何度も書きますが、いろいろなレンズを使う私は、そのレンズを開放で使いたい。撮影しているカットの内、多くは開放で撮影します。ということは、ピントが合う合わないって問題は、非常に大きなファクターなんですね。しかしながら、仮に開放F2.8のLレンズをF5.6に絞って、EOS-1D Xを使って様々な距離でポートレート撮影をしたとしても、ピントが合っている写真が100%であることはないっす。開放、特にF1.4を使って被写体との距離が3m以下ならば、感覚的に50%ぐらいの写真にピントが許容範囲内に来ていて、その内30%ぐらいに思っていた位置へのジャストピントが来ていればOKという感覚。それゆえに「行けた!」と思える感覚の写真が撮れたとしても、ピントの念のためのもうワンカットを狙って撮影しちゃいます。(多分、私のピントオッケー許容範囲の感覚は、非常に厳しいと思うよ)
ある時、退任される校長先生のポートレートを撮影しました。恐らく年齢は60歳に近いのではないかと思います。その方は、メガネをかけていらっしゃいました。ちょと昔風な、フレームの上部が割と濃い色で太いタイプのデザインね。ま、そもそもカメラのAFが苦手なものに、メガネ(それそのものがレンズだし)の奥の目にピントを合わせること、というのがあります。その上、いい感じにピントが合わせやすい、いわゆるコントラストが高い場所であるところの、メガネのフレームが「どーん」と顔の中にありました。このことを認識していた上で、もちろん撮影に臨んでいます。校長先生はなかなか頑固と言いますか、ピクリとも表情を動かしてくれません。レセプションで雑談している時には、それはそれは素敵な笑顔で喋っていただけたのに、イザ、カメラの前に来ると、ってやつです。ということで私の狙いは、歯が見えるほどじゃないけど、優しくふんわりと笑顔である表情を撮りたかったのです。んで喋り捲って、撮影しまくって、先の通り「撮れた!」と思ったカットが3点ほど行けたところで、撮影を終わりにしました。
その夜。私はベッドでひとり、枕を涙で濡らしました。
その3カットは、狙った通りの表情をゲットできていました。しかしながらそのピントは、メガネの奥の瞳ではなくて、メガネフレームそのものに合っていたのでした。もちろん選択した測距点は、メガネの奥の瞳に合致(測距点と瞳のサイズがファインダー内でほぼ同じ大きさ、という意味ね)させています。校長先生は座っていますから、そうそう前後に身体が揺れたとは考えられません。私のルーティンとして、シャッター半押し、AF駆動、ファインダー内のAFフレームが赤く光る、音も鳴る、シャッターを押し切る、というような作法を全カットをやっています。他のカットにはもちろんちゃんとメガネの奥の瞳にピントが来ているカットは撮れています。だからピントが外れたのは、きっとAFセンサーそものもの精度の問題じゃありません。恐らくは、様々な理由が重なったのでしょう。しかし、なぜに狙っていない場所、狙っているところから1センチほど上のメガネフレームにピントが来るのでしょうか?
ぶっちゃけこの手の話、1度や2度ではありません。昔から何度も経験しています。だから先の通り、気をつけています。しかしながら、今回は特に、本当に、心の奥底から悔しかったんです。
もうAFでピントが合わないカメラはいらない!
と思うようになるには、必要にして十分な事象でした。
つづく。。。
注:当該文章で「AFでピントが合わないカメラ」と述べていますが、あくまでも私個人の見解、感覚、基準です。なお、AFの合焦システムを考えた場合、通常「一眼レフ」と呼称されるカメラの場合、当該文章で使用しているカメラ以外であったとしても、私が疑問に感じた事象が起こりうる可能性が高いと認識しております。もしも「そんなことはありえない」という個人または企業がありましたら、一緒に検証してみましょう。私はいつでも実証に積極的に参加いたします。